『お茶が運ばれてくるまでに~A Book At Cafe~』感想
『夜が運ばれてくるまでに』の姉妹作。
“心動く18の掌編”
『夜運』より長い文章のが多いです。
「ばけもの」
あなたが、どうしようもなく悲しくなったとき――
化け物がやってくる。
化け物は、あなたを容赦なく襲う。
あなたは痛い。
あなたは苦しい。
あなたが逃げても、化け物は追ってくる。
どこまでも追ってくる。
あなたがどこに逃げても、化け物はそこにいる。
あなたのいる場所に化け物はいつもいる
あなたが起きているときも、
寝ているときも、
化け物はそばにいる。
ずっとそこにいる。
いつまでもそこにいる。
やがて――
あなたは気づく。
化け物はあなたを襲っても、前ほどの痛みや苦しみを感じなくなっていることに。
やがて――
あなたは気づく。
いつまでもそばにいるのに、
化け物があなたを襲わなくなっていることに。
あなたの隣であくびをしたり、
眠そうにすり寄ったり、
あなたの頬を軽くなめたり、
あなたは、そんな化け物と一緒に生きていく。
そして、その化け物は、
あるとき、あなたに大変な勇気が必要になったとき――
あなたの忠実なしもべになる。
あなたを守り、
あなたに尽くし、
あなたのために戦う、
何よりも強い、力になる。
化け物はずっとそばにいる。
あなたと共に、生きていく。
タイトル通り、思わず読みいってしまいます。
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